大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ラ)825号 決定

記録をしらべてみると、本件は抵当債権者たる土地建物合資会社が債務者たる再抗告人に対する貸金債権につき抵当権の実行として昭和五年四月十二日東京区裁判所に対し抗告人所有の本件宅地三筆及び他の八筆の建物につき競売の申立をなし、同裁判所昭和五年(ぬ)第六二〇号不動産競売事件として同月十五日競売手続開始決定があり、その頃競売申立の登記も経由されて競売手続の進行中、東京地方裁判所昭和五年(ヨ)第二、〇一〇号事件の命令により競売手続は停止となり、昭和十七年一月に至り再び進行され、その結果同年六月十日東京区裁判所で開かれた競売期日において前記土地建物合資会社が本件宅地三筆を代金四万六千七百円で競落し、同月十一日同裁判所より競落許可決定を与えられたところ、該決定に対し再抗告人の代理人たる弁護士峰川辰五郎より同月十五日頃抗告の申立があり、事件は東京地方裁判所に係属中(抗告事件の番号を窺い得べき資料はなにもない)記録全部が戦災により焼失したため、同裁判所は昭和二十三年十月二十一日附を以て再抗告人に対し改めて抗告理由書を提出するよう命令し、これに基き再抗告人より昭和二十四年六月二十一日附を以て抗告理由書の提出があつたので、同裁判所昭和二十四年(ヲ)第一、五二六号事件として新たに立件したうえ、該事件につき口頭弁論を開き、前記競落許可決定に至つたまでの競売手続並びに右決定に対する再抗告人の抗告がいずれも適法に行われたことについて当事者たる再抗告人及びその相手方たる前記土地建物合資会社間に争のないこと及び再抗告人の抗告理由は原決定の摘示したところに尽きることを明確にし、右再抗告人の抗告理由に対する相手方の答弁をきいたうえ、証拠調をなして口頭弁論を打切り、爾後書面審理に移して昭和三十一年九月四日抗告棄却の原決定をなしたものであることを認めることができる。

以上認定したところによれば、前記競落許可決定に対する再抗告人の抗告につき東京地方裁判所が同庁昭和二十四年(ヲ)第一、五二六号事件として立件したのは、致方のない措置であつて相当というべく、右抗告については、同事件があるだけであつて、ほかに再抗告人の主張するような番号不詳の昭和十七年某号抗告事件の存する謂れはなく、また抗告理由も原決定の摘示した主張があるだけであつて、このほかに再抗告人の主張するような別個独立の抗告理由は存しないものといわざるをえない。しかして前記競落許可決定に至つたまでの競売手続並びに右決定に対する再抗告人の抗告がいずれも適法に行われたことについて争の存しないこと前記認定のとおりであるから、再抗告人の主張するが如く競売手続を最初に溯つてやり直す必要は些かも存しないのであつて、原決定がその摘示の抗告理由の当否について判断したのは正当の措置というべく、また再抗告人の本件不服申立が終局的に排斥されるにおいては前記競落許可決定は終局的に確定し、本件においてはほかに再抗告人の主張するような永久未確定の別個の競落許可決定は存在しないものといわざるをえない。

(柳川 村松 中村匡)

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